夏の甲子園は待っている

高校野球

春のセンバツ出場の切符を逃した選手たちは、

夏の甲子園出場に向けて、

猛練習に励んでいることと思います、

この時期になると、忘れられない投手がいます。

彼は高校入学時から

剛球投手として名を馳せていました。

高校2年の秋の大会
センバツ甲子園出場の参考になる大会です)

彼のチームは県内はもちろん、

九州でも優勝候補と言われていました。

しかし県大会でまさかの敗戦。

センバツ出場は夢と消えました。

敗戦の1週間後の大分遠征でした。

対戦相手は強打の〇〇高校。

彼は初回から飛ばしました。

変化球は1球も投げずに

剛球のみで三振の山を築きました。

ベンチに戻って来た彼に

監督が言いました。

 
「おい、気持ちいいか?

 俺の剛球を見てみろって感じか?

 お前がセンバツに行けなくて

 悔しかったのは分かる。

 

 でもな 1番悔しかったのは、

 ベンチにも入れず

 スタンドから声を枯らしながら

 お前を応援するしかなかった

 同級生のピッチャーたちじゃないか。

 

 自分の、うっぷんを晴らすために

 マウンドに立つのはやめてくれ。

 お前にはこのチームの

 ユニホームを着る資格はない。

 俺は負けてもいいから

 ベンチに入れなかった子たちに

    投げさせたい。

 

 もう自分のためだけに野球をするのは

 やめてくれないか。

 お前以外は
 みんな夏の甲子園を目指しているんだ。

 今のお前のピッチングじゃ夏も勝てない。」

 

エースは言葉を失って立ちすくみました。

その時、

キャッチャーが大声で言いました。

 

「監督!すみません!

 全部、自分のリードなんです。

 自分が投げさせたんです。

 エースに責任はありません。

 次の回は、夏の甲子園をイメージして

 投げさせます。」

 

次の回、マウンドに立った彼は、

剛球と変化球のコンビネーションで

上手く打者をかわし

3つの内野ゴロで仕留めました。

 

ベンチに戻った時、

選手全員がエースに拍手を送りながら

迎え入れました。

 

号泣したエースがそこにいました。

 

夏の甲子園予選。

彼は剛球と変化球を丁寧に低めに集め、

効果的な配球で、

相手校に凡打の山を築きました。

 

夏の甲子園のマウンドに彼が立っていました。

 

センバツ出場を逃した

1週間後の遠征で流した涙。

彼は、あの日から変わりました。

 

センバツ予選の敗戦から変化、

成長する選手を

夏の甲子園は待っています。

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